評価:★★★★☆ 4
ラブコメ×推理。雨と雷の日、雷宮光(らいきゅう・ひかる)は、佇んでいた美少年に一目惚れをする。光は持ち前の度胸としつこさで交際を迫るが、その少年・水無月日向(みなづき・ひなた)はかたくなに断って……。あるとき、ふたりは階段下で男子生徒2人が倒れているのを目撃する。逃げ場がない状況で犯人はどうやって現場から去ったのか――?「日常の謎」「読者への挑戦」「安楽椅子探偵」編など。ラブコメ要素強めのライトミステリです。エブリスタにも掲載しています。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
注意:R15
ラブコメと日常の謎系ミステリーの融合が織りなす新境地です。ドキドキするのはミステリーの為なのかラブコメの為なのか解らなくなるぞ!美少年の日向君に恋をしてしまう二学年先輩の光。そんな二人のじれったい恋模様と、巻き込まれてしまう日常の謎に、とてもわくわくドキドキさせてもらえます。さりげない日向の言葉に、まんまとのせられてしまう光がとても可愛い! 裸エプロンやらサンタの衣装にはドキドキさせられっぱなしだ!
レビュータイトルそのままです。美少年と美少女が出てきて、美少女が美少年に一目ぼれするというハーレムものラノベのような始まり方をしますが、そこだけ読むと本質を読み間違えます。本作の中身は近年の『氷菓』や北村薫作品のような「日常の謎」を扱ったミステリーです。また、ただ謎を解くだけでなくその解答には思春期の心の痛みが鮮やかに刻まれています。単純な頭の体操をするバズルゲームであるだけでなく、青春小説としての要素も両立させています。エピソードごとに少々出来にバラつきがあるのが残念ですが、全体としては非常に綺麗にまとまった良作です。
はっと目を見張るほどの綺麗な顔をした下級生に一目惚れし、いきなり告白……その後もグイグイと、押すわ迫るわ……すごいや~。これぞ肉食系。……なんて書くと、いったいどんな恋愛小説かと思われるかもしれませんが、これはれっきとした【ミステリ】なのです!!日常生活の中のちょっとした不思議。死体も刑事も出てこないけど、立派に謎解きが楽しめるほのぼの『推理』小説です。頭の体操にいかがですか?固い頭が柔らかくなる……かも。
「階段下は××する場所である」は、日常の謎を描いた連作ミステリだ。本作はミステリとしての「こだわり度」が非常に高い。不可能状況を扱った謎や、古典名作のパロディ描写などからも、作者のミステリ愛が窺える。そして推理要素以外に、もう一つの柱となるのは、主人公の高校生たちのドラマだ。女性恐怖症の探偵少年・日向と、彼に熱烈に求愛する先輩・光の攻防は実にユーモラスである。他にも、日向を支える幼馴染のカナや、光を慕うキュートな演劇少年・楓など、魅力的な人物が物語を彩る。誰かが必死に隠そうとした真相が暴かれるときには、人の醜さが滲み出る。日向たちはその答えに動揺し、ときに傷つく。だが、論理の糸のみを信じて現実を噛み砕く彼らの姿は、悲壮さと逞しさを感じさせる。「日常の謎」こそが、彼らの青春なのだ。「階段下」から始まるこの物語。日向や光は、謎解きを通して、一歩ずつ大人への階段を上っていく。