評価:★★★★☆ 3.9
魔法使いの子孫が貴族に紛れて暮らす王国。
妖精が見える一族・オリエット伯爵家の一人息子セシルは、麗しの公爵夫人ローズへの片思いを捨てられないでいた。
既婚者とはいえ、夫である公爵との年の差はかなりのもの。だから、いつか、もしかしたら――悪戯好きなピクシーと戯れる日々で思い描いていたそんな夢想は、突如現れた異母弟アレックスと、同時に浮かび上がった「廃嫡」の可能性を前に、大きく揺るがされていくことになる。意地が、秘密が、思惑が絡まりあう若者たちの足元を、気まぐれでわがままな妖精たちが駆けまわり、奇妙なお家騒動の幕が上がる。
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:ハッピーエンド
注意:残酷な描写あり
貴族の後継者争いを題材にしたこの作品。最初は色々と細かい設定や世界観の説明が入ってくる為、少し動揺する所もあるかもしれないが、物語の内容自体は実に面白いものに仕上がっている。なんといってもキャラがとても活き活きしてるのだ。1人も無駄もなく。後継者を争う腹違いの弟は、ヒール役として最低に憎たらしく、最高に魅力的な人間臭い人物として主人公を右往左往させる。そして、ヒロイン。主人公の憧れだけど、その美しい美貌とは裏腹にとても鋭い棘を持つ薔薇のような王女。弟と何やらいい雰囲気だし、主人公に対してあまりいい印象を抱いていない──ううん、なんだろうこの一筋縄ではいかない感じは。他にも一癖あるキャラ達が沢山いて、それが抜群に物語に噛み合っていて面白くないわけが無い!何よりこの人達をも翻弄する自由気ままな妖精達にご注目を!読んでいて怒り、悲しみ、喜び、笑いが交差すること間違いなしだ
この作品は、貴族の跡目争いを描いた作品だ。 昼行燈の主人公が、突如現れた腹違いの弟と対峙する。 主人公が貴族としての生活をかけ、静かな駆け引きを繰り広げるのが特徴の作品だ。 ……とはいえ、主人公は別に弟を憎んでいる訳ではないし、それどころか割と仲良くしている場面さえある。 弟も弟で、嫌味なところこそあるが、決して嫌な奴ではない。むしろ、主人公と比較されると、応援したくなることさえあるだろう。 この不思議な人物関係こそが、この作品の最大の魅力だと私は思う。 『不思議』と言えば、この作品を語るうえで妖精の存在は欠かせない。 主人公の相棒は妖精で、一々いたずらしたり、菓子を要求したりする、とにかく面白い存在だ。 彼らの存在が、この物語を盛り上げてくれているのは間違いないだろう。 この『小説家になろう』では、あまり見ないタイプの作品だ。 気になったなら、是非見てほしい。
この作品は、主人公と幼い妖精のやり取りから物語が始まる。読み始めた当初は二人の成長ものかと思っていたのだが、この作品はそれだけでは終わらなかった。腹違いの弟という、ただでさえヘビーな人物が、主人公の将来を揺るがすのだ。窮地に追い込まれた主人公を支えてくれるのが、ただ幼くわがままかに見えた妖精なのだ。主人公と妖精が、今後どのように行動していくのか。今後の展開に期待したい作品である。