評価:★★★★☆ 4.2
勇者と共に魔王を討伐した賢者ドワイト。
世界に平和をもたらしたはずの彼らは、次代の魔王になるつもりだという疑いをかけられ、死者の谷へと突き落とされて命を落とす。それから十年後。
肉の身体を失ったドワイトはスケルトンとなり、谷底でひっそりと生き永らえていた。
深い後悔に苛まれる彼は、勇者の亡骸を抱いて自問自答する。
そして、一つの結論に達した。「間違っているのは世界だ。私が否定しなければ」
決心したドワイトは、死者の谷の瘴気を喰らい尽くした。
彼はかつての魔王を凌駕する存在となり、無数のアンデッドを率いて地上を目指す。
すべては真の世界平和のため。――最強の力を得た不死の王は、人類を相手に戦争を始めるのであった。
話数:全288話
ジャンル:ヒロイック・ファンタジー 異世界ファンタジー
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:ざまぁ
【ネタバレあり】人間の良い面、悪い面を踏まえて、どうすれば平和な世界が実現できるのか。そのテーマに対して、きちんと作者なりの答えを出した良い作品でした。性善説、性悪説をファンタジー世界で煮詰めていくとこうなりそう、という面白いお話です。暴力や恐怖でコントロールし、巨大な共通敵を作ることで協力せざるを得ない方向に持っていこうとする魔王。過ちを繰り返すなかで、破滅の可能性を孕みながらも少しずつ学んでいく事を期待した勇者。それぞれがお互いの主張を認め、自分の主張の不完全さを理解し、その上で信念や理想を貫く為に戦う。勇者のと対峙、どうなるかと思いましたが、予想以上に綺麗に纏まっていました。あと所長のキャラが良すぎるwこの作品で一番のお気に入りになりました。
私が本作の作者である結城からく氏の作品に出会ってから4年ほど経った。結城氏はこの数年間、ほぼ毎日投稿しており、それを毎日読むのが私の日課になっている。その作品群の中でも、本作の主人公、賢者ドワイト・ハーヴェルトは特にまっすぐなダークヒーローだろう。そして、最強系、成り上がり系、成長系の要素がうまく混ざった作品だ。読んでいくと「ああ、この淀んだ世界を待っていた」という気分になっていた。普通の冒険系やスローライフの作品と違うのはドワイトが全人類が敵となっていることだろう。戦わなければ魔王として討伐されるという緊張感、戦うことの必然性。しかも対する敵は、正統派主人公級の、ある意味主人公補正的な力で、自らの信念を貫いて全力で襲い掛かってくる。ただ主人公の強さを引き立てるだけの敵ではなく、魂の通った主人公の心を揺さぶるような敵が、この作品の一つの魅力だろう。
人間に裏切られ、人間に絶望し、人間に恨みをいだきつつ、魔王となったアンデッドの話です。人間に裏切られた勇者の従者という設定、読みやすい文章で語られるストーリーはアンチ・ヒーローの王道を抑えつつ、大変に面白い。まだ半分程度読んだだけなのですが、この後主人公の元賢者ドワイトがどうなるか大変気になり、レビューしたくなる名作です。
一通り読んでみて、面白かったです。勇者と共に死んだ賢者が勇者に代わって世界を守るべく魔王と化すという展開も、「世界の意思」と呼ばれる理不尽チートパワーのアシストを受けた勇者や聖女、英雄たちに抗う戦いも、登場人物の意思・感情も、素晴らしいものがあると言えます。魔王なのに人類を滅ぼしてはいけない、どころか人類が自滅しないように絶対悪として君臨し続けなければいけない魔王は大変でしょう。何せ、自分と尊敬の対象だった勇者を裏切って殺したのは同じ人間ですし、魔王が賢者時代に尊敬していた勇者は魔王である自分の行いにいい顔をはしないでしょうから、葛藤があるのも当然です。それらもしっかり書かれていて、悩み、葛藤に苦しみながらも、絶対悪として魔王を貫く元賢者はとても読んでいて面白いです。総じて、面白い作品だと思います。
ざっと読みました前後篇になってます前編は勇者と賢者を殺した王国が文字通り消滅する話です圧倒的な数の暴力と化したアンデッドが王都に襲来殺しても殺してもアンデッドが復活するわ殺された味方がアンデッドになるわと裏切り者の王国を情け容赦なく滅ぼしますゾンビ映画のように人を倒せば倒すほど、アンデッドが増えていくパニック系のノリは最高です王の最後は拍手喝采しかしこの作品はここからの後編が本番でした鉄の意志をもって突き進む賢者の前に現れる敵、敵、敵その敵を真っ向勝負で倒し続ける賢者この作品の世界観は本当にハードですねそれと意外なことにこの作品は配下のキャラが皆生き生きとしていますまるでお祭りでもやってるような陽気さがすばらしいですこのまま最後まで賢者の勝利で終わり世界が平和になることを願っています