評価:★★★☆☆ 3
わたしの名前はミディ。
ミディール・アルフレア。街道沿いの宿場町、チルコラントに暮らす、ごくごく普通の女の子。
この春からスクールの学年も七年生になる、十三歳。
髪を無造作に結い上げて、わたしはルーン文字の刻まれた杖を握る。
わたしの夢は、《有名》な魔法使いになること。魔法なんて、普通の人でもそこそこは使えるけれど、高度な魔法をバンバン使ってみたいじゃない?
でも、ある程度上級の魔法を使うには、ちゃーんと魔法使いの免許をもらって、王国に登録しないといけないの。やんないと捕まっちゃうんだって。
でも王国の研究機関に入れたら、新しい魔法の開発や、失われた魔法の再現なんかもできるみたい。
それってば、なんかカッコよすぎない?
っていうか、もーう、かっこよすぎ。わ・た・し!
ということで、わたしは魔法使いになりたくってしかたないの!今回は、そんなわたしが体験した不思議な不思議な十四日間について、お話ししたいと思う。
冬の終り、スクールが春休みに入る、その日から始まった。
パーティーまでの十四日間の物語。※
ノベルアッププラスでも掲載中
時代:未登録
舞台:西洋
その他要素
注意:全年齢対象
魔法やモンスターが存在するものの、中世ヨーロッパよりはちょっと文化水準が上がり、議会や学校といった制度が存在する世界を舞台にしたお話です。主人公は偉大な魔法使いを夢見る13才の少女。彼女が強大な魔力を欲しさに悪魔(と言っても、愛すべき善玉です)と契約を結ぶのが、物語の始まり。分量としては短編読み切りに近く、ここで申し上げられることは少ないのですが、数点だけ。それほど深刻な事態は起こらず、肩の力を抜いて読めます。友情をテーマにした健全で王道的な展開ですが、いくつもの伏線が結末に向かって収れんしてゆく様は大変に技巧的で、ありきたりといった感じは致しません。読後感も良く、この辺は細田守監督の映画に近いものを感じます。