評価:★★★★☆ 4.3
神崎るりは公園管理の仕事に就いている26歳。
年頃の女性なのに恋にも結婚にも興味を示さず、シルバー人材派遣の老人たちと公園の整備に励んでいる。
そんな五月のある日、松の立ち枯れの対策に派遣されてきた樹木医の青年と出会い、彼女の運命が動き始める。血に潜む能力に翻弄される彼女は、呪いにも似た怨霊の執着から、果たして解放される日が来るのだろうか?
話数:全79話
ジャンル:ヒーロー・アクション 現実世界恋愛
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
ヒロインの名は、神崎るり。幼い頃に兄と両親を一時に亡くし、 『不幸を呼ぶ女』 として周りから恐れられ、ひとりぼっちで生きてきた。人が苦手で、恋や結婚などもってのほか。公園の管理をしつつ地味に生きる毎日である。しかしある日、優しい大阪弁とふわりとした笑顔が魅力的で細やかな気遣いができる、割とフツメンな樹木医に出会い、運命は大きく動き出すーー『レクライエーンの申し子』のかわかみれいによる、渾身のローファンタジー、ここに完結!★☆★☆★☆結木 : 『割とフツメン』やて。ほめてるのかけなしてるのかわからへんなぁ(苦笑)るり : 世界一の行動イケメンですよ。読者の皆さんだって、そうおっしゃってるじゃないですか。結木 : そんなん言われたら、照れるやないですか……(ヤンデレ兄(怨霊) : るぅりぃぃぃぃっ! お兄ちゃんは? お兄ちゃんはっ……!? )
誰かと幸せになる。そんな普通の願いは諦めていたヒロイン。しかし、そんな彼女を見付け、彼女の抱えるものに立ち向かう覚悟を決めた、一人の樹木医。二人が結んだのが『夢』なのだ。現実から夢、死の境、彼らは現実成らざる世界を往き来する。これぞローファンタジー。だが、この話はそれだけではない!このカップルがたまらない!と思ったのですが、ヒロインを見守る周りのキャラクターも非常に魅力的である。ハッキリ言ってイケメンが多い!ただのイケメンではない!さて……これ以上は言えない。それを確かめるのは貴女だからだ。気になった貴女、読んでみよう。貴女に刺さるキャラがいるはずだ!物語も極上、読まないのは損だ!
読んでいるとあれを歌いたくなるくらい美しい大阪弁が聴こえてくる作品です。「聴こえて」きます。はい、幻聴ですが。綴られる大阪弁が、ネイティブなんて知らない北国のわたしにもゆったりとした抑揚を持って届きます。テノールのイケボです。素敵です。そこに萌えしかありません。素敵です。作品内容は本格的なローファンタジー。読み進める内に、なぜ「月の末裔」というタイトルなのかがわかります。ふつくしい……こう書くとお耽美系かと思われるかもしれませんが、どちらかというと乙女ゲー系です。イケメンにはもれなくそれぞれのイケボがついてます(ついてません、自力で聴いてください)。スチルもあります(ありません、自力で見てください)。だがしかし全力硬派。そこに生まれる美。素敵です。まあなにが言いたいかっていいますと。―― ヘイ、そこのお嬢さん!一緒に萌えようぜ!!!
子どもの頃、「特別な能力」に憧れたこと、ありませんか?カラスが近くに降り立ったら、これは自分の使い魔だって思ったり。遠くから微かに聞こえる不思議な音が、自分を迎えに来る合図だって妄想したり。適当な予想が的中したら、そういう力(実現力ないし予知力)があるんだと確信したり。風が騒がしいなと呟いたり……使い魔を持てず、お迎えも来ず、未だに眠れる能力が目覚めない皆さん(目覚めた方ももちろん)、あの頃のドキドキとワクワク、思い出しませんか。幻視、夢、幻聴、特別な力、そして運命。引き込まれる文章で、あっという間にあの日憧れた世界が目の前に広がります。るりに執着し続ける怨霊とは。飄々とした樹木医、結木の隠された秘密は。彼らを襲う運命とは。魅力的なキャラと世界は、きっとアナタの胸の端っこを痛いくらいにギュっと掴んで離しません。きっとこの物語を読めば特別な力が目覚め……(ません