評価:★★★★☆ 4.1
「しきめーる」と呼ばれる都市伝説。四回送れば、「死姫(しき)」と呼ばれる少女が迎えに来る。織本耕介は、受験時期の息苦しさから、手を伸ばしてしまうのだ。
死にたい。
死んでしまいたい。
『けれども、それは本当に貴方の願いなのですか?』
※マグネットとカクヨムでも公開始めました。
あやかしの少女「紫姫(しき)」が紡ぐ、哀しくも、優しいホラー風味幻想譚。
毎日を、一生懸命生きている方。真面目に生きていても、生きづらい方。そんな方々に読んでほしい作品です。
※コンプティーク2015年7月号で、作品紹介されました!完結しました。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
注意:全年齢対象
“『死にたい』誰でも、思いの強さに関わらず、一度は思ったことあるんじゃないかな。自分は思ったことあるよ。強いられ続けて嫌になった時。孤独感に苛まれた時。希望を持てなくなった時。でも、今、こうして生きてる。自分なりに楽しくやってる。この作品では、そんな『死にたい』って思ってしまった男の子が、「しきめーる」っていう都市伝説に手を伸ばしてしまうんだ。「しきめーる」は四回送ることで「死姫」が迎えに来る都市伝説。何故、””四回””送らなければ迎えに来ないのか。気になる?その答えは、この作品を読むことで分かると思う。どうして、自分が最初に質問したのかも分かると思う。ここでは答えは言わないよ?この作品は、できるだけたくさんの人に読んでほしいからね。答えが知りたいのなら読んでほしい。絶対に、読んで後悔はしないから。”
登場人物たちの悩みや後悔が上手く描かれており、それらが少しずつ影響して最終的にひとつの結末へと繋がっていく、そんな素晴らしい作品となっています。オムニバス形式ですし、キーパーソンである紫姫が少し特殊な存在なので割と序盤は謎が多いです。しかし、読むにつれて明らかになっていくことがたくさん出てくるので最初で読むのをやめずに最後まで読むことをオススメします。個人的に序盤の物語と最後の今までの縁の積み重ねが感じられる終わり方はお気に入りなので他の人にも読んでほしい。ふんわりと人と人との関わりを感じることのできる作品だと思います。人との縁というものを感じさせられる、そんな物語を読みたい人は是非一度読んでみてください。
忙しなく過ぎる日々に、その身が押し流されている貴方に。 生きていながらその実感もなく、繰り返す毎日に嘆息している貴方に。 この物語はそんな貴方へ贈る筆者からのプレゼントである。 ファンタジーでありながら舞台は現代―――。 オリジナルの都市伝説を用いて紡がれるストーリーを彩るキャラクターたちの縦糸と少女紫姫たちの横糸が織り成す切なくも温かな物語こそ、この『むらさきひめ』だ。 筆者はこの難しい作品を卓越した表現力で見事に魅せてくれる。 個々のキャラクターたちのそれぞれが抱える悩みは何れも、一度は抱えたことがあったり、貴方の身近な方が抱えるものではないだろうか。 そのリアリティこそ、この作品が貴方に投げ掛ける問いなのだ。 貴方は何を思い、その先に何を見るだろうか。 一読の価値は私が保証します。
日々の荒んだ生活に、心が疲れている人。 あるいは、人生そのものに行き詰まりを感じている人。 そんな皆さん、この作品を読んでみてください。 「しきめーる」――それは、八方塞がりの日常をやぶる手立て。四通送れば「死姫(しき)」と呼ばれる少女が現れ、あちら側へと、あなたを連れて行く。 ……という都市伝説から始まる物語ですが、これは『むらさきひめ』の入口に過ぎません。しきめーるをきっかけに、少年少女と、「紫姫(しき)」との物語が紡がれていく――それこそがこの『むらさきひめ』なのです。 受験勉強に忙殺されながら、一喜一憂を繰り返す「耕介」。幼なじみへの恋心を抱えながら、違和感の中で目を覚ます「あゆか」。そして、「紫姫」と「死姫」とは……? それぞれの心の解放に至る、胸が温かくなる物語です。流麗な筆致で描かれる幻想的な『むらさきひめ』の世界に、あなたも浸ってみませんか?
ほんのりホラーテイストで始まるこの作品。怖さの中に、文学的な切なさや物悲しさも含まれています。戦闘描写は読む者を圧倒する迫力に満ちています。人間らしい弱さを持ちながらも、罪悪感に苛まれる脆く優しい登場人物達。彼らの心が、繊細な文章表現によって緻密に描き出されています。誰もが抱いたことのある悩み。苦しみ、死という名の救済を求める彼らに、きっと感情移入してしまうことでしょう。この物語の主人公、むらさきひめの性格を反映したかのような、物悲しくも優しさを感じさせる作品。是非、たくさんの方に読んでもらいたいです。
『死にたい』軽い気でも、本心からでも――そう思ったことはありませんか?上手くいかない学業や、恋愛、そして自分自身への葛藤。このお話は、そんな誰でも共感できる側面から、読者を『死』と『生』。やがて『愛』へと向き合わせます。人は何かに悩むとき、視線が塞がりがちです。視界が狭まれば、狭まるほど……心は輝きを失い、何も映さなくなります。この作品の登場人物も同じです。周りはおろか自分すら見えずに、もがく。そうして到達した先が『死にたい』という答え。ですが、よく目を凝らすと、周りにはいるものです。あなたに見えていなかった、あなたを想う人の心が。それに気が付いた時、登場人物達は……。悩む人、後悔している人、全ての人に読んで欲しい――そんな作品です。
もしかすると本作を語る上での論点としてずれている、と作者を含めた数多の人々から指摘を受けるかも知れない。しかし、数あるレビューの中の一つとして、筆者の圧倒的表現力について特筆したものがあってもいいと思っている。「むらさきひめ」この作品について、本レビューのタイトルにあるように「読み進める事が困難である」と書いたのは、筆者が等身大の少年少女にありがちな心境、境遇をあまりに巧み、緻密に描きすぎているからだ。感涙し読む手は止まる。誰しも経験がある。だからこそ――共鳴して打ち震える。そんな共感をもたらす描写。独特の緩急、リズムは実に洗練されていて、抵抗なく読者の中に入り込んで炸裂する。こういった感動に打ち震えるのが僕だけかどうかは、これから本作に触れる読者によって千差万別であろう。しかし、個人的な感想を述べておく。読み進める事が困難であった、と――。
私が、この素敵なお話『むらさきひめ』に引き込まれたのは、なんと言っても細かい心情描写と綺麗な文章です。お話の中に出てくる少年少女たちの悩みは誰しもが一度は経験したことがあるもの。その部分を深く深く、より深く。そして、詩のような幻想的な文章に躍動感あるアクションシーンも加わり、読む手が止まりません。ジャンルは『ホラー』ですが、都市伝説みたいなお話でホラーが苦手な方にでも優しいお話ですよ。そんな淡く優しい幻想譚『むらさきひめ』ぜひ、読んでみては?
この物語は、美しく、冷たく、暖かな刀のような物語である。 洗練された刃は鋭く、ふっとしたときに浮き上がる心の暗い部分を斬ってしまう。情緒豊かな文体で描かれる物語は美しい。切られた瞬間は当然痛い。 だが斬られた傷がいつまでもジクジクと痛む無残な切り方ではないのだ。 達人の放つ斬撃は、切られても痕さえ残らず綺麗に治るという。 この物語による―『むらさきひめ』による切り傷は、人の血の通った暖かな斬撃。心の闇を斬られたと気づく前に痛む部分が切除されて、読み終わったとき どこか新しい気持ちが生まれるだろう。 『死』とは。『恋』とは。 『愛』 とは。 誰にだってある思い。わかってしまう哀しみ。 シキメールによって紡がれる縁はどんな乱舞を魅せるのか。 そんな優しさが忍んで存在する切ない怪異譚。
こちら、『むらさきひめ』の世界観は読み手の心をグイッと惹きつけるチカラを持つ作品ですなぁ。まず、作品設定の視点が良いですなぁ。人間の心理や思い込みなどに上手く切り込み、読み手に『これ、あるある』と共感させて、より作品に入っていく道をつくっていますなぁ。都市伝説系のなうな不思議感がまたまた良いスパイスですなぁ。皆様、六月の夜長に微ホラー系のこちらの作品を読まれてみてはいかがでしょうか。