時を経た魂の旅(Voyage)の物語。
物語はまず、イタリアローマ郊外の発掘現場での発見から始まる。
そして舞台はローマ帝国時代へと移る。
恋人同士のヘルメスとユリアは今度の満月の日に、結婚式をあげることになっていた。
ある日、公衆浴場からの帰りユリアは、野望家で遊び人の元老院議員セクトゥスに見初められる。
セクトゥスの策略により、ヘルメスとユリアは別れさせられユリアはセクトゥスの妻にさせられる。
失意のうちにいたヘルメスは、偶然、ユリアがコロセウムに現われることを知る。ヘルメスはうまくコロセウムに紛れ込み、ユリアを連れ出すことに成功する。
二人は夫婦になりたく逃げるのだが、追っ手はすぐそこまで来ていた。もはやこれまでと悟った二人は、死を決意するのである。
時はめぐり、舞台は魔女狩りが横行していた中世のフランス。
エルメスは亡き妻の妹ジュリと結婚することを誓い、仕事を求めてジュリに赤ん坊を預けパリへと旅立つ。
エルメスは晴れてガラス職人のリュシアンの元での仕事が見つかる。ところがその頃、ジュリが魔女の嫌疑で、高等法院評定官のランクルに連行される。
ジュリはさまざまな拷問の末、ついに、自分が魔女だと認める。
ジュリは処刑され、エルメスは失意のうちに村へと帰っていく。
そして時は流れ、舞台は20世紀初めのアメリカ。
実業家ネイサンのもとで働く黒人奴隷のハーミーズは、ネイサンの妹ジュリアと密かに恋仲であった。
ジュリアはいつかハーミーズが、晴れて自由人となり結婚することを夢見ていた。だが、白人至上主義の秘密結社のリーダーであるネイサンは、ハーミーズを自由人にすることなど毛頭なかった。
それを知ったハーミーズとジュリアは、逃亡を決意する。だがその情報は漏れ、二人はあえなく捕まってしまうのである。
ジュリアは一週間の監禁に処され、ハーミーズは暴行の末、殺されてしまう。
時は流れ、現代の日本。
絵描きの男と末期の白血病の女は、生きた証に肖像画を描いてもらうことをきっかけに出会い、一目で恋に落ちる。
輪廻転生を題材に、それぞれの時代に起きた出来事に翻弄される恋人の苦悩を描く、恋愛かつ社会的小説。
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