くだものナイフと傷だらけのリンゴ【完結済み】

過去のショッキングな出来事から人との関わりをなるべく削っている大学生、桐島朝人（きりしまあさと）は友達も恋人もできないまま酒飲みサークルでダラダラとお酒を飲む日々を送り、いつのまにか大学２年生になってしまった。
しかし朝人としてはこの生活に不満はなく、このまま平坦で平穏で平和な毎日を過ごしていくのだろう──そう思っていた。

浜咲麻衣（はまさきまい）と出会うまでは。

麻衣は元テニスサークルのメンバーで大学一の美女と言われている。そんな朝人にとって縁遠い人間が酒飲みサークルに入ってきた。なんだかよく分からない展開に戸惑いを隠せない朝人だったが、不思議と酒は進み、サークルの先輩達は彼女を受け入れていく。

酒飲みサークルを通じて交流を深めていく朝人と麻衣。
けれども、朝人は過去の出来事が原因で麻衣との仲を今一歩踏み出せずにいた。

「好きとか嫌いとか、愛だの恋だの、触りたくないんです。どうせ火傷するだけだから」

どこにでもいそうな陰キャ男子は誰かに愛されることができるのか──恥ずかしくて、切なくて、だけどちょっとだけ優しい１対１の恋愛物語。