一度も好きだと伝えられないまま、幼馴染みの少女・會田美姫が何者かに殺された。
絶望の谷底に突き落とされた少年・池月祥太朗は、通夜の席で美姫が生前三人の男と同時に交際していたことを知る。
美姫に限ってそんなことがあるはずないと、事実を否定しようとする祥太朗。しかし、それが美姫の殺された理由だと言われれば、納得しないわけにはいかないのもまた事実だった。
さらに美姫には、実はもう一つ殺される理由があった。三年前、警察官だった美姫の父が殺され、美姫はその犯人をひとりで追っていたのではないかと目されていたのだ。祥太朗には美姫の他に五人の幼馴染みがいる。三年前の事件当時、美姫を含む七人全員が容疑者扱いされた。目撃証言から、犯人は子どもではないかと推測されていたからだ。
何もしていないのに疑われ、挙げ句の果てに未解決である三年前の事件のおかげで、祥太朗は今でも警察を少しも信用していない。
そんな中、美姫の彼氏のうちのひとりで祥太朗の高校の同級生・百瀬龍輝が、祥太朗との接触を図ってきた。警察に疑われながらも、百瀬は自力で美姫を殺した犯人を捕まえようとし、そのために祥太朗を利用しようと近づいてきたのだ。卓越した頭脳を持ちながら、素行面に問題のある百瀬との捜査。ある時は刑事を脅して情報を引き出し、またある時は陰謀渦巻く夜の街を練り歩く。
なぜ美姫は殺されたのか?
三股をかけていた美姫の真意は?
誰が美姫を殺したのか?どこまでも自信たっぷりな百瀬と、生来のビビりである祥太朗。
凸凹でイマイチ噛み合わないふたりはやがて、事件の裏に隠された切なくも大きな愛を知る――。繊細で純粋な若い心が躍動し、暗闇の中に一縷の希望を見出だしていく。
果てなき友情とまっすぐな愛情が織り成す青春ミステリー。――嘘つきは、誰だ。
※カクヨム、エブリスタにも掲載しております。
Liar
完結日:2020年2月7日
作者:貴堂水樹
評価:☆☆☆☆☆ 0
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:残酷な描写あり