ｅスポーツ・アスリーテス〈世界最速の小学生〉～尊い彼女が世界記録を更新し、そして少女たちは量子のなかでめぐりあう～

挿絵が口絵として１枚あります。オリジナルのイラストです。
女の子が主人公の〝あまふわ〟で〝ハートウォーミング〟な近未来ｅスポーツ・ストーリー。
あらすじ（後半までのネタバレあり）

　これは、二一世紀が三分の一をすぎた頃のお話。
　世界で有数のプレイヤー数を誇るｅスポーツゲーム・オリュンスフェア。
　オリュンスフェアとはゲームの名称で、そのギリシャ神話に似た幻想世界を量子コンピュータ内に構築している人工知能システムの総称でもあります。
　そこでは、陸上競技をはじめとするｅスポーツと、クエストとよばれる冒険アクションゲームが、多くのプレイヤーたちによって楽しまれていました。
　ある日、オリュンスフェアをはじめてまだ四ヶ月の〈アイ〉は、関東エリアの定期競技会でスタディオン走の世界記録を更新してしまいます。
　スタディオン走とは、約一九二メートルの直線路を走る、もっともシンボリックな短距離競技です。絶対的な強さを誇るクイーンの世界記録がやぶられたことに全世界の競技者の間で衝撃がひろがりました。
　数日後、内気な小学六年生の上泉愛は、弟の言葉から自分が〈アイ〉であることをクラスメイトに知られてしまいます。大騒ぎになる教室でしたが、幼なじみの北条新一郎のおかげで事なきを得ます。
　数週間後、愛の小学校に、外国から車椅子の転校生がやってきます。
　小百合・リュシエールという転校生の少女の正体は、オリュンスフェアにおいてクイーンと称されるｅアスリーテスで、スタディオン走の前世界記録保持者でした。
　小百合と仲良くしたい愛でしたが、うまくいかず心がすれ違います。元気をなくした彼女は、つぎの定期競技会で走ることができなくなります。
　ゲーム仲間のシホ、リアン、ユズキとの会合と、その彼女たちと共にＡランククエストに挑み、しだいに自分をとりもどしていくｅアスリーテスのアイ。
　そして、アイとクイーンによるスタディオン走の決勝レースがはじまるのでした。