評価:★★☆☆☆ 1.5

 そこでは七日に一度《終焉》が訪れていたが、現地の人々は気にしていなかった。
《天使》と呼ばれる少女、シオンが居るからだ。
 普段は無気力だが、世界を守る使命に関しては、彼女は常に全力だった。
 終焉とは、大地をこの世に留めている《斜塔》が崩れて初めて発生する。つまりシオンが塔を守っている限り、終焉は訪れないのだ。
 だが、そこにシオンの自演行為が紛れていることは誰も知らない。
 天使の持つ力は、人々の信心から得られるもの。シオンはわざと魔物の棲む森で国を囲い外界と遮断、誤情報を流して信頼を稼いでいた。
 何より信心が薄まることを恐れるシオンは、もう何十年も嘘を突き通していた。
 あるとき、不可侵の魔物の森を、旅団に属する一人の青年・メブキが突破する。
 諸国に対し「戦争をやめるよう説いてほしい」と彼は言うが、シオンはこれを「めんどくさい」と一蹴。未だに戦争してる連中なんかどうでもいいとシオンは返すが、メブキは頷くまで帰りませんと譲らない。
 だったらそれまでこき使ってやると言い出せば、なんと青年は喜び出す。
 どうやらこの男、元から天使に対して憧れを持っていたらしく、逆に良い機会を与えてしまったようだった。
 外界の情報を漏らさぬように、シオンはひとまず青年を自宅に軟禁する。が、これは住民側がやってきたために失敗する。
 案の定、住民と青年の間で生じた情報のすれ違いが疑問となり、シオンは弁明しようと混乱する。
 不審に思われた、力が弱まる、と不安になるシオン。メブキと話し合い、どうしたらいいのかと無意識に尋ねていた。
 だが、住民はそんなこと気にしない。皆はきっと一人の女の子に対して、無条件に応援している。
「皆を信じてあげてください」
 よそ者の言葉ながら励まされたシオンが、皆のもとへ戻ろうとしたとき、これまでとは異なる形で終焉が訪れる。
 住民が死に絶え、信心は消え、シオンの力も削がれていく。それでも斜塔を守ろうとシオンは、メブキの言葉を思い出し、足掻く。
 消えた力が戻ることはなかったが、シオンは奇策を閃いた。
 シオンはあえて終焉を受け入れ、斜塔を破壊する。
 そして壊れ始めた世界に溢れ出した、救いを求める声を一身に受け止めて――少女は、崩壊を迎えたこの大地に、新たな楔を打ち込む。
 終焉は鎮まり、住民も目を覚ます。
 新しい世界で、新たな一日が始まった。


話数:全6話

登場人物
主人公属性
職業・種族

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象