評価:★★★★☆ 4.1
蓮水理乃にとって、俺こと日渡透弥は十一番目の恋人だ。
十五歳で初めての恋人が出来てからの四年間、なぜか理乃はいつだってモテモテだった。地味で、色気もなく、もう数年はニート生活を続けている理乃。
だが、理乃にはとんでもなく美味いカレーライスを作るという特技があって、その味はいつも相手の男の口から告白のセリフを引き出してきたんだ――
カレーライスをめぐる、少し不思議なラブストーリー。【※この作品は、「カクヨム」様にも投稿させて頂いております。】
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:現代
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
その他要素
注意:全年齢対象
カレーライスに惹かれる理由はなんだろう、と考えることがある。肉やジャガイモという大多数の男が好きな食材が使われているからか。いや、実のところ細かく味を決定しているのは野菜の切り方だ。カレー粉が同じでも人によって味が違うのは、家庭で料理をする人間ならわかるだろう。つまりカレーライスはルウの選び方から調理法、野菜や肉の切り方などその人の個性が最も表れる料理と言えるだろう。主人公は、ヒロインのカレーライスという胃袋を侵略する兵器に負けてしまった人間だ。哀れにもその味に惚れ、ついにはヒロインにまで惚れてしまう。当然だ、カレーライスはヒロインの個性が表れたものなのだから。残酷な現実がありながら、主人公は戦う。彼女と思い出とカレーライスを忘れられないから。散りばめられた伏線は見事の一言。これは主人公の紡ぐ、甘くも辛い、しかし癖になる料理だ。この作品はぜひ一食するべきものである。