夢のある妄想 完結日:2012年2月29日 作者:小岩井豊 評価:★★★★☆ 4.1ぼくと小岩井さんは夢のある妄想が好きだ。妄想が現実になればいいなと思うときもあるし、妄想が現実にならなければいいなと思うときもある。ひとつだけ言えるのは、ぼくらは、夢のない妄想はあまり好きではない。 話数:全29話 ジャンル:現実世界恋愛 青春 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 中学生 時代:未登録 舞台:学園 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 バカップル ラブラブ 下ネタ 空想 電波 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
これは、妄想がちな中学生の平井君と小岩井さんが繰り広げる、ほのぼのとした青春物語である。彼と彼女の織りなす妄想劇は他愛もなく、中学生の頃ならば誰もが考えそうな、微笑ましいものだ。それが独特のテンポで繰り出され、こちらの笑いを誘う。シュールで淡々とした、個性的な会話に思わず笑みがこぼれてしまう。そうしてモニタの前でひとしきりニヤニヤしたあと、物語は大きな契機を向かえる。受験、進路、別れ。「現実」というモノの片鱗が顔をのぞかせるのだ。大人とはなにか、子供とはなにか、夢とはなにか。自問し、悩んでいく主人公。思春期に誰もが経験したであろう漠然とした不安が、綺麗な文章で綴られてゆく。そして透明感のあるラストシーンを読み終えたとき、あなたの胸にはきっと、形容しがたいあたたかい気持ちがあふれてくるだろう。「夢」を抱いていたあの頃の気持ちを思い出させてくれる、宝石のような小説である。