評価:★★★★☆ 4.2
軍勢――軍団――レギオン。人類の敵は、常にそこにある。
内気な女子高生、御堂ルリネの日常は突如、終わりを告げる。正体不明の生物、レギオンの「狩り」のターゲットとなったのである。彼女を救うのは、超能力を駆使する謎の転校生と新任教師、そして鋼の黒い獣だった――。力とは、存在とは何か。意志をかけて戦うダークSFファンタジー、開幕。(本作品は虚数領域、波動関数、機甲兵器など、ある程度のSF要素を含みます。当方が文系のため、SF知識は付け焼刃です。おかしな点がありましたら指摘していただければ幸いです)
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
SF要素がぎゅと詰まっており、この世界は弱肉強食であることがわかる。レギオンと呼ばれる存在は一方的に人を殺すために攻め、人間側は彼らの狩りの対象となる人物を守る。 SF要素が詰まっていることが先に述べたが、戦闘描写は濃密で、感心してしまう。レギオンに狙われる少女、そんな彼女を守るために戦う少年は守る力を得てその刃を振るう。 誰かを守るために振るわれる力。たとえ、誰かに忌み嫌われようとしてもその能力は誰かを守るために存在している。
我々の世界では、強い者が生き残り、弱き者は淘汰される弱肉強食という摂理も孕んでいる。もし、全人類を観察し、淘汰する存在がいるとしたら……なんの前触れもなく人類の敵レギオンから狙われた女子高生ルリネ。彼女を守護する、対レギオン組織の三人と黒き獣を持つ少年ユウト。だが、強い意志を宿す彼らを、不条理が嘲り笑う。レギオンとの圧倒的物量差、死への足音が聞こえ始めた時、彼らが選択するのは全てを救うための希望か。それとも―――重厚でダークな世界観と鮮烈な戦闘シーン、圧倒的な表現力が読者をとらえて離さない。私もその一人だ。登場人物たちの存在感に、きっと今までの価値観が覆えされることだろう。最後の時まで彼らの生き様を見届けろ―――!
SF好きな僕としては非常に推したいこの作品。まるで出版された作品のような完成度でした。 まず文章力。 情景が目に浮かぶようで、銃撃戦や緊迫した場面など、非常に書くのが難しい部分も豊富な語彙と圧倒的な文章力でかなりうまく表現できています。あそこまで緊迫した戦闘描写を書くのは高い文章力を持つ「なろうの作家さん」たちの中でもこの作家さんがトップレベルだと思われます。 次に設定。 SFは専門用語や独自の世界観を説明する際に読むのが面倒になる方も多いと思いますがこの作品は違います。 かなり複雑な世界観を必要最低限の説明文でまとめあげ、読者を飽きさせません。 本当に面白い作品でした。ぜひとも僕以外の他の方々に読んでいただきたいと思います。
力があったからといって、その力は暴力のためだけにあるわけではない。そんなものは意味が無い。力とは、誰かを助けるために振るう物。そんな当たり前のようでいて大切なことを脳内へズシリと叩き込まれる本作。洗練された描写の数々が描くバトルシーンはあなたを否応無しに物語の世界へと引きずり込むことでしょう。SF要素に多量に含まれる難解な単語の数々も、この小説ではすっと頭の中に入ってきます。筆者の高い文章力に支えられているからに他なりません。内気な女子高生、御堂ルリネの周りに集う人物達は何を思い、戦いを繰り広げていくのか――本格的なSF小説、ここにあり。この素晴らしくレベルの高い小説を是非とも読んで頂きたいです。