評価:★★★★☆ 4.4
海軍兵力の主力が航空機と航空母艦となったため、戦艦は兵術的価値を失った。その果ての日本が新たに大艦巨砲主義の新世代として、海軍兵力の主力を、戦艦を再び『主力艦』とするために、兵術的価値を新たな形で生み出したのが、『護衛戦艦』であった。そんな護衛戦艦が『神龍』である。そんななにかを護るために生まれた戦艦が、戦艦『大和』を護衛する。そして沖縄県民五十万を護るため、沖縄へと出撃した。これは、そんな大艦巨砲主義を新たな形として復活させようとした、そして護(まも)るために生まれた、彼彼女たちの物語……。私自身が『艦魂』といったジャンルに初挑戦する作品です。
話数:全45話
時代:昭和
舞台:未登録
注意:残酷な描写あり
この作品は僕が今まで読んで来た艦魂作品――いえ、全ネット小説の中で最も完成度の高い作品です。護衛戦艦『神龍』という架空艦の艦魂と、それに乗る三笠菊也二等兵曹の切なくも温かい恋物語を主軸に繰り広げられる太平洋戦争末期の日本の姿。神龍だけでなくその他伝説の戦艦『大和』を始めとした複数の艦魂が二人の恋に大なり小なり関わり、物語はさらに大きく広がる。戦争という過酷な環境の中、幸せな時を過ごす二人。だが、ついに本土近海にまで迫る米軍は沖縄に上陸。『神龍』は戦艦『大和』の護衛として共に水上特別攻撃隊として沖縄へ出撃。その先にあるのは、魂が燃え、心が壊れ、次々に命の炎が消えていく戦場。その時、神龍と三笠は……涙なくしては語れない艦魂小説史上最も美しくて切ない物語。どうか皆さんも神龍と三笠の切ない恋物語をぜひ読んでみてください。