評価:★★★★★ 4.5
「きっといつか、そなたを皇后にする」
幼くして魏の三代皇帝となった曹芳(そうほう)は、共に学び、遊びながら育ってきた花蓮(ファーレン)をこよなく愛している。
しかし、皇太后に反対され、皇后になることが叶わなかった花蓮は、曹芳の妾となった。五年後、皇后が病で亡くなり、再び彼女を皇后にしたいと望む曹芳に、皇太后は残酷な手をくだす。
曹芳の留守中、花蓮の身を買い上げ、異国から来た男に妾として与えたのだ。※タイトルの後ろに「※挿絵」と書かれたお話には、挿絵が入っております。文字だけでお楽しみいただきたい方は、挿絵非表示に設定してください。
※こちらは、「ラスト・シャーマン」の外伝となっております。
ご理解を深めていただくためには、本編を先に読まれることをお勧めします。※ブクログのパブーにも掲載しています。
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:R15
時代は『三国志』の後。華やかな三国志の時代が終焉を告げる頃。傀儡として生きる魏の皇帝と、彼の心の拠り所である妾、花蓮(ファーレン)の運命は……。花蓮の語り口調で物語は進んでいきます。柔らかい語り口調がとても読みやすいのですが、時代の過酷さ、無念さをつぶさに見つめる花蓮が、淡々と語っていくのが、切なく、やるせない。そして花蓮は、やりきれない想いを島国(日本)から来た男、男鹿(おが)に向けていく……。華やかな歴史物語は数ありますが、翳りを迎え、崩壊へと向かっていく時代を描いた作品はあまりないと思います。それだけに『歴史』というものの重みを感じる大作です。若かりし男鹿を描いた邪馬台国の物語、『ラスト・シャーマン』の続編。どちらから読んでも楽しめる作品です。
数多の策謀と想い。混濁した人間心理模様や心の機微がしっかりと描かれている作品ですなぁ。人の心と欲が織り成す想いが連鎖して生み出す世界観。悲しくもあり辛くもあり……そして、現実と想いの狭間でたどり着く先……これほどキャラクターを心情や立ち位置、個性と歴史背景を俯瞰して、作者さまは上手く手綱を操って読みやすい文体で表現をしているなぁと感心してしまいますなぁ。こちらの作品単体でも充分すぎるほど素晴らしく良作なのですが、その面白さを十二分に堪能していただくためにも本すじである『ラスト・シャーマン』も読まれてみてはいかがでしょうか。
この物語は作者様の代表作である、邪馬台国を舞台とした「ラスト・シャーマン」の外伝にあたる物語なのですが、そちらを知らずにここだけをとって見ても完成度の高い作品です。 三国時代の中国、魏の国。 王の后となることが叶わず、妾となった女性「花蓮」の物語。聡明で美しい彼女が時代に翻弄されながらも生きる姿が鮮明に語られています。 恋物語でありながらも、それだけではない背景が魅力的です。 歴史が苦手というでも問題なく読める、丁寧でわかりやすい親切さで書かれています。 ぜひぜひ、おススメですよ☆