評価:★★★★☆ 3.6

 武田晴信(たけだはるのぶ)とは、戦国時代の武将、武田信玄の出家前の本名です。拙著では信玄の前半生を対象にしており、晴信の名で進めます。
 欲望のためなら手段を選ばない極悪非道の人間、あるいは完全無欠のスーパーヒーローとして演出されることの多い信玄ですが、ここでは気弱で心根のやさしい人間が、戦国時代を生きぬくためには非情にならざるをえない苦悩を書きます。
 物語は、前世の記憶をもつ現代人が、当時の自分、武田晴信について紙に書き残そうとして始まります。そのため、主人公は「私」という人称代名詞で語ります。また、カタカナ言葉も地の文で使用しています。

 武田晴信には禰々(ねね)という妹がいました。禰々は十六という若さで死にます。死因ははっきりしていません。自ら命を断ったのかもしれません。十六というのは数え年であって、現代なら中学三年生くらいの女の子です。
 晴信は妹の嫁ぎ先を侵掠し、夫を殺し、子供を禰々から引き離しました。
 晴信が禰々に対して、どのような気持ちでいたのか、それを伝える文書はありません。感情を他人に吐露することはなくとも、慚愧の念で自分を責めていたのではなかったか。

 なお、章ごとの後書きで、いくつか自論を展開しています。ご高覧いただければ幸いです。主なものは次のとおり。
・今川氏輝の不可解な死について(三条夫人婚約者説)
・海ノ口城攻めと初陣について
・塩尻峠に至る空白の六日間
・山本勘助は実在したのか(真下家所蔵文書への疑義)
・三男の四郎勝頼について(三郎永久欠番説)


話数:全17話
ジャンル:

登場人物
主人公属性
  • 未登録
職業・種族
  • 未登録

時代:
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

その他要素
注意:全年齢対象