私は毎日二ミリずつ小さくなっているらしい

自分の人生の使命が何なのかを知ることができた者は幸せだ、それが何歳であるかにかかわらず。恐らくは、ガルーラと出会った地球人と同じ数だけ壮絶な物語があり、その全てが悲劇だったに違いない。主人公は、本当に幸運にも「優しい世界」に守られて真実に辿りついた唯一の人類だった。その幸運に甘えることなく自分の使命を悟った主人公に、付け入るのは容易なことではなかっただろう。この物語は、己の使命との戦いと淡い恋物語という二面性を持つSFである。SFと聞くと宇宙戦艦が出てきて宇宙戦争をしたりAIが出てきたりというのが鉄板だが、こんな角度からの切り込み方をした作品はあまり見たことがない。まるでサン・テグジュペリのようだ。綿密な状況描写と文章力を駆使した作品だった。とても面白かった！

本作は、知らずの内に日々背が縮むようになった女性の【カナ】、黒猫の【クロマル】、そして【カナ】を助け出そうとする【シュウ】が織りなすドラマチックなストーリーです。背が縮んでしまうという症状に戸惑い、医者に相談した際の反応や対応も自然で、事細かに記述された情景/心理/考察描写も相まって、リアリティがあります。季節を巡り、どんどん小さくなっていく【カナ】と、徐々に大きくなっていく【クロマル】の対比がまた良い。徐々に明らかになっていく秘密が、スクロールさせる手を止まらなくさせ、人と人の触れ合いや思いやりが心打たれていきます。まず間違いなく、素晴らしい作品と太鼓判を押せます。

特に序盤はリアル過ぎて『マジで小さくなってんじゃないの？ この人』と思って読んだ。そのくせ中身はたまらなく優しい夢物語なんだよ。この作者の作品はみんなそう。誰も彼も暖かい。無責任な人もズルい人もバカも悪人も出てこない。切なくて甘くて優しい夢物語だ。それでもドラマチックで、ドキドキハラハラさせてくれる。完結してるから、先が気になって眠れない心配もないぞ。一気に読んでしまえよ！確かで丁寧な描写に、没入感半端ないぞ。読み終わった後、幸せな気分になれるんだよ。なんか善人になったみたいな気持ちだ。こんな作品、なろうじゃ人気出ないよな。でも、俺はすごくいいと思うぞ。読んでみて欲しい。ほんとそう思う。あ、それから、猫好きは必見だ！

本作は、毎日二ミリずつ小さくなっていく主人公を中心に描かれる、少し変わった日常奇譚。ある日、気づいた時にはすでに四センチも小さくなっていた主人公。病院で検査を受けるも、原因はわからない。不安に襲われる主人公とは裏腹に、毎日確定二ミリずつ縮んでいく。ありえないことが日常の中に織り込まれ、徐々に変わっていく生活。しかし、その中でも主人公はポジティブにできることを探して愛猫とともに生きていく。悲嘆に暮れず、大騒ぎせず。旅行に行ったり、新しい仕事を模索したり。異常を受け入れて、日常を生きていく主人公を楽しむことができる作品。猫好きな人も必見です。ぜひ、ご一読を。

気づいた時にはすでに四センチも小さくなっていた▽△▽そう。主人公は自分の身長が理由は不明だが『毎日二ミリづつ小さくっていく』という状態になっていたのだった。病院で検査しても原因は不明。ただわかったのは『私は毎日二ミリずつ小さくなっているらしい』ということだけ。だんだんと小さくなっていく自分に対して相対的に大きくなる世界と愛猫（クロマル）そして隣のお姉さん（主人公）がなんか怪しいと思って心配し、こっそり観察しはじめる少年▽△▽毎日二ミリづつ小さくっていく主人公だが、悲観にくれるわけではなく、かといって大騒ぎするわけでもない。あくまでも日常を過ごしていく。『あり得ないこと』の中での日常を描いている名作。

１話読み、２話読み、３話読む。最初はなんだか不思議な物語。だけど、話が進む度に私……お姉さんは小さくなる。元の160㎝は女性ならば平均的な身長だったのに、いつしか小学生並の背丈。医者に行っても治らない、こんな姿で仕事も出来ず、親にも誰にも会えない。そんなお姉さんは、愛猫と共に生きていく。愛猫の成長とは反比例する様に小さくなり続けて、いつしか１人で出歩くと心配される大きさに。買い物は通販、家の中を改良、愛猫と暮らす快適な１人と一匹だけの世界。こんな生活の中、たった一人の少年だけがお姉さんを心配していた。お姉さんはこれから毎日小さくなり続けるのか。それとも、何処かでストップするのか。または、身長が元に戻るのか。この先はまだ、誰にも分からない。不思議な日常は、これからどうなっていくのだろうか。３話読めば、続きが気になって抜けられなくなります。皆様、お気をつけて！！