評価:★★★★☆ 4.2
四百年の長きに渡って、広大な中国を統治した王朝「漢」
その漢王朝に幕を閉じた、最後の皇帝の名を「劉協」
いや、帝位を献じた者という意味を込め、人々は「献帝」と呼んだ。そして時代は「魏」「呉」「蜀」の「三国志」へと突入し、三匹の龍を争わせる。
ただ、気まぐれな天は、もう一人の龍を転生させてしまった。
名を「狂」。落ちこぼれチンピラの「狂」。最底辺から最高峰へ。命知らずの帝王に。
もう献帝なんて言わせねぇ。
天上天下俺が独占!!!!!!!!【旧タイトル 「三国志の英雄にタイマン叩きこむ ~献帝が狂武帝と諡されるまで~」】
話数:全94話
ジャンル:歴史
雰囲気:未登録
展開:成り上がり
注意:残酷な描写あり
まず初めに言うと、転生して主人公がなんやかんやして世界が変わるだとか主人公ってすごいのでは?といった類の物語ではない。そういうものを求めているなら回れ右した方がいいかもしれません。歴史上の人物の考え方が少し違ったらとかこの人に仕えてたらとかそういう類に近いと思います。主人公が居たから多少道が外れたのかな?という具合転生モノではなく歴史モノとして読んだ時この話はとても面白い!一人一人のキャラがちゃんと生きてるなと感じる作品です。
三国志のファンってどのくらいいるのだろうか。しかし、三国志を題材する話は未だに多い。どこまでも、コアに突き詰めるのもいいが、三国志ネタはそろそろ、いいんじゃない? と思う人もいるんじゃないだろうか。しかし、この作品は違う。まだ、三国志を味わう視点があることに気づかされます。しかも、この作品は歴史小説とどこかファンタジー要素もまじって三国志? 知らないよ。って人でも読めると思います。歴史は資料と小説を多く読んだ分だけ解釈が変わります。主人公が献帝! も驚かせますが、献帝が主人公だとこういう世界観なんだなと新発見します。すでに頂点なのに、乱世のせいか英雄になれない献帝が成り上がろうとする無謀な話。どういう結果に収まるんでしょうか?読んで損はないです。むしろ、新境地に達する歴史ロマンを是非読んでみて堪能してください。
タイトルからして不穏極まり無いです。諡とは、簡単に言うと帝や諸王が死後、その生涯の功罪によって付けられる呼び方です。王朝を切り拓いたり、領土を拡大すると武、類い稀なる治世を敷けば文、ダメ君主なら幽、霊などです。さて、狂武帝。とんでもない諡ですね。何をしたら、こんなん付けられるねん、と作者と語り合いたいです。三国鼎立するの?そもそもタイマンってどういう事?早く続きが読みたくなります。各登場人物も、こういう解釈か!と思わず唸ってしまう魅力的な人間ばかり。人によってはイメージと違う、と感じるかもしれませんが、それもまた面白さです。この先、どのような三国志が語られていくのかが楽しみで仕方がありません。