評価:★★★★★ 4.5
500年以上前のインカ帝国の時代、子どもたちが高山の頂上に生贄として捧げられるという儀式があった。生贄(カパコチャ)として氷点下の山頂に埋められた子どもたちは凍り付き、生きているときの姿を残していた。
時は経ち、子どもたちの亡骸は瑞々しい姿のまま、次々と発掘される。文化人類学を専攻する研究生ダニエラは、研修のため、あるカパコチャの少女の亡骸と対面する。ダニエラはその少女に会った瞬間、不思議な共感を覚える。
やがて少女の『声』を感じ取れるようになったダニエラ。
少女はダニエラに、生きていた当時のことを語り始める。数百年の時の彼方で、少女はどのように生活し、何を想い、そして何故カパコチャになったのか……。
最も残酷な儀式として話題を呼んだ、インカのカパコチャ。
しかし、彼らは本当に『単なる犠牲』だったのか。
そこには現代人の想像も及ばない、壮大な視点があった……。
話数:全23話
ジャンル:歴史
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
いにしえの時代、善とされてきたインカの生贄。現代の私達には哀しみしか伝えることのない、辛く切ない魂の犠牲。けれど其処には沢山の満ち足りた想いがあった!高地から発見された少女の亡き骸が語る、夢のような不思議な体験。時空を超えて告げられた真の事実に、「彼女」は何を思い導き出すのか──この時代を様々な視点で描き出して来た作者様の、珠玉の物語です*インカの文化や様式、名前に込められた溢れる愛情、幼いながらも深く繋がる永遠の友情、そして国を想い捧げられた麗しき命に、是非心打たれて下さい。悲しい史実が温かな想い出へ変えられるその結末に、「ああ、読んで良かった」と感嘆の溜息をつかれることは間違いありません!
大学の研究生となったダニエラが惹かれたのは標高5000Mの雪山から発見された少女のミイラエストレーヤ(星)と名付けられたその少女はダニエラに自分の数奇な運命を語り始める同作者著『カントゥータの赤い花』の登場人物であったチャスカの視点で語られる物語平和な村から神殿へ連れて行かれ閉ざされた世界で繰り広げられる儀式や生活の様子そして自分とは異なる運命を抱えた少年と出会い二人の間に芽生える友情生贄(カパコチャ)に選ばれた少年少女の生きていた証が確かにここにあるそんなお話です