評価:★★★★☆ 4.2
江戸城の権力者である土井大炊頭利勝は、七人の根来忍びに命じて、宇都宮城の城主である政敵・本多正純の失脚を企んでいた。それに対して、のちに鍵屋の辻での敵討ちで名を馳せる若き剣士・荒木又右衛門は、正純の実子・正勝らとともにその陰謀に敢然と立ち向かう。はたして、伊賀の忍びにしてのちの大剣士と奇怪な忍術射撃の激闘の行方はいかに?
(転生・タイムスリップ等はありません)」
話数:全32話
ジャンル:歴史
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:江戸
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
強さとは何だろう、と人は時に口にする。 暴力、権力、財力、知力……いくつもの形をとって、強さとはあるものだ。 私たちは己のキャラクタに沿った強さを手にし、己の意志を貫こうとする。 荒木又右衛門、日本史上にその名を残す剣豪がこの物語の主人公だ。 無類の剣技と類まれな忍びの術をあわせ持ち、尚且つ恵まれた体格をしている。 すなわち、彼の強さとは暴力であり剣術となる。 けれども、それだけではない。 フィジカルの強さだけが彼の強さではないと、読み進めれば分かる。 人の本当の強さとは、己の強さが封ぜられた時にこそ真の姿を見せるのだと……粛々と又右衛門の苦悩を描く文章から分かるはずなのだ。「又右衛門、切ってはならぬ」というタイトルの意味が、その時初めて心に届く。 山田風太郎レスペクトの色も濃い、剣術忍術入り乱れた本格歴史活劇。 秋の夜長には、こんな物語も悪くない。