評価:★★★★★ 4.5
惟任日向守こと明智光秀は、己にそっくりな老僧、随風を見つけて影武者として雇う。
武田家を滅ぼした祝勝の宴席上での失言。石見、出雲への転封の内示。そして、安土における徳川家康の供応における大失態……。
やがて、愛宕権現に参拝して連歌を詠んだ光秀は、軍勢を仕立てて亀山城を出立したが、軍勢が京へ向かう岐路に立ったとき、光秀の心は揺れる。
「敵は……」※「カクヨム」にも重複投稿しています。
話数:全12話
ジャンル:歴史
登場人物
主人公属性
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職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
日本最大の裏切り者といえば、明智光秀の名があがる。光秀がなぜ本能寺を襲ったのか。諸説が紛糾し、いまだに決着はついていない。朝廷。秀吉。イエズス会。黒幕存在説はむかしから言われているが、どうも最近は説得力を喪いつつあるようだ。「武士の嘘を武略といい、坊主の嘘を方便という」との格言をのこしたような男がのこのこと、誰かの甘言に乗って行動を起こすとは思われない。怨恨。衆道。野望。いづれの理由であるにせよ、本人の意志による行動であったろう。本作は光秀を主人公とし、さまざまな逸話に新解釈のメスを入れている。これこそが真実であったのではないかという説得力は、格調高い文体に付随する。最後の一行の美しさは、読む者の心を打つ。