評価:★★★★☆ 4.3
晴らせぬ恨みを晴らし、のさばる悪党を消す。江戸で闇の裏稼業、仕掛屋を営む政吉と四人の仲間たちの血生臭い生き様を描く作品です。差別用語が多く登場します。また、全編に渡って暗く不快で残酷な話が多々ありますので、そういった展開が苦手な方は注意して下さい。
話数:全52話
ジャンル:歴史
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
完結日:2016年7月24日
作者:赤井"CRUX"錠之介
一掛け二掛け三掛けて仕掛て殺して日が暮れる並み居る悪党許すまじ八つ裂きにしてもあき足らぬ苦怨の唄が響くとき呪詛の刃が悪を討つ侍だろうが彼らは動くとにもかくにも恐ろしい不吉を届けに今日も往く歳も男女も問うことはなく一期一会の仕掛屋稼業いざ、宵の口へ……ここから仕掛屋の時間が始まる……一度動き出した彼らは、もう止まらない……読み応え、重厚感、ともに抜群。一度はまれば、もう抜け出せない。
同心の中村左内は昼行灯と言われる頼りない同心だ。見回りと称しては賄賂を受けとるしょうもない同心。しかし、彼には裏の顔があった――。必殺シリーズのオマージュであるこの作品の良いところは、リアリティーのある闘いだ。時代劇が廃れていく中で、この作品は時を生きている。必殺ファンならぬとも、この世界には惹かれるものがあるはず。特に闘いのシーンには固唾を飲んでしまうであろう。時代劇を見たことがない人にもオススメの逸品です。
江戸の片隅で蕎麦屋を営む政吉は、闇の殺し屋稼業「仕掛屋」のボス。 めくらの多助と竹筒打ちのお松、島帰りの龍、蘭学者崩れの以蔵などなど、クセ者揃いの仕掛屋の面々。どのキャラクターにもそれぞれの「人生観」が用意されており、江戸の街を舞台にした悪党同士の殺し合いの物語を通じて、実は著者さんは「現代」を描いているのだろうなと思いました。確かにこの世界、どこへ行っても所詮は地獄。その地獄を生きるよすがに文章を綴ることが作家というものであるならば、このような地獄を淡々と書ける人こそ本当の「作家」ではないでしょうか。なろうの作品の中で、一時の時間潰しになるものは多いですが、読み終わったあとも感情が残る作品には滅多に出会えません。そういう意味で、ぜひ読んでもらいたい作品。懸念なのはこの複雑な人間関係の物語を、著者さんがどう収束させていくのかですが、それも含めて応援していきたい作品です。