評価:★★★★☆ 4.4
1日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えた小説家の「俺」は、それでも過ぎていく日常のなかで足掻く。
可愛い女の子と出会っても、小説を書き進めても、そのすべてを明日には忘れてしまう。
昨日の記憶を持たない「俺」は、そんな状況のなかで恋をすることが、小説を完成させることができるのか?
※完結済。第6回ネット小説大賞受賞しました。双葉社様より書籍化されます。
話数:全35話
ジャンル:
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:全年齢対象
1日毎に記憶がリセットされる男。どっかで聞いたような話だなと思いながら、読みすすめていく。巧い。深刻な状態の中、ちょっとカッコつけつつ生きていくアキラの日常。等身大の描写に凄く共感した。 一気読みした、というのは良作の必要条件であって十分条件ではないと思う。レビュー界では往々にしてよく見る表現ではあるが。ではこの作品はというと、「一気読みしそうになる自分を必死に止めて、一度寝た」。ベストな状態で読みたいと、そう思えた。布団の中でダラダラ読みたくはなかった。 妹の描写がいい。私には妹がいるが、まさしくこんな感じだ。この少し馬鹿にしてくる感じ。登場人物が自然に見える、この作者さんの力量を褒め讃えたい。 あえて複雑にしていないと思われるつくりは、読みごたえがあった。展開の必然性がちゃんとあって、つまり物語がちゃんと繋がっていて、とても読みやすい。 もう文字数がないのが残念だ。
短期間の記憶しか持たない、前向性健忘症の人がどんなメンタルで生活しているのか、というのが自分には想像もつかない領域だったのですが、この作品はそれに対する一つの答えを提示してくれている傑作だと思います。 どん底まで落ちる展開があるのですが、それを乗り越えてのタイトル回収というのは非常に熱く感動的です。 自分が一番心に刺さったのは「限られた時間をどう使うか」といった部分でした。だらけがちな自分への戒めを込めて、常に視界に入る所に置いておきたいと思います。 恋愛面に関しては本当に香りづけ程度で、コテコテの恋愛ものが苦手な方にも安心してお薦め出来ます。 レビューを書かせて頂くのは初めてなのですが、いつまでも本棚に置いておきたい価値のある一冊だと思います。
記憶が一日しか持たない主人公が、困難にもめげずに小説を書き続ける話です。周りの助けもありますが、本人の意志の強さとナイーブさが彼を前に進ませます。 一番印象的だったのは、自分の弱さを認めるのが真のハードボイルドだど気づくところでしょうか。単なるポーズとかではなく、血肉の通った本当の漢に近づけたんじゃないかなと思います。
素晴らしい話です。昨日の自分からのメッセージを頼りに小説を書く主人公の、奮闘と苦悩の話です。記憶のないことのあやふやさや不安、逆に記憶がないことの強さ。規模の小さな話な分、テーマが強く表現されています。主人公の内面と、彼の周辺の人々の描写が中心で、大きく展開する話ではありません。文章量も多くはありませんが、凝縮された味わいのある物語でした。
前向性健忘の小説家の苦悩を描いた作品です。浮き沈みがあるためにハラハラドキドキする要素があり、主人公とヒロインが魅力的であり、伏線を回収する秀逸なオチもあり、全てを読み終えた後に読者の目に涙を浮かばせるような感情を抱かせる。惜しい点をあえて挙げるならば、小物な悪役に魅力的な背景やカリスマ性を与えたならば更なる良い作品であっただろうな、とは思うくらいでしょうか。総じて、プロの書いた書籍化作品の中でも十分に戦っていける素晴らしい作品であることは間違いありません。私はこの作品が書籍化したならば、購入して自分の本棚に並べたいと思わせられました。次回作にも期待しています。
正直、小説家になろうでレビューを書くことになるとは思っていませんでした。前向性健忘の主人公が、前向きに小説を書いていくお話。他の方が書かれたレビューにもありましたが、とにかく主人公の生き様が格好いい。毎日自分の現状に驚き、落ち込みながらも前へ前へと突き進んで行く主人公の姿に、間違いなく勇気をもらえるはずです。久々に小説を読んでちょっと涙が出ました。
一日の終わりにその日起きた出来事を全て忘れてしまう主人公。毎朝目覚める度に記憶を失い、自分が記憶を失っていることを知る。友人と会っても、美味しいコーヒーを飲んでも、可愛い女の子と出会っても、その日の終わりには記憶を失い、喪失すらも忘れてしまう。主人公自身に起きた変化は全て失われてしまう。 でも、世界には主人公以外が存在します。主人公はパソコンや手帳に記録することができるし、世界は少しずつ動き、少しずつ変わっていく。記録も変化も、時とともに積み重なる。始点が違えば、終点が違うのもまた道理。昨日と今日が同じに見えても、明日は全く違うかもしれない。 私にとって、今日を生きる元気をもらえる作品でした。ありきたりに見えても、どうか読み進めてみて下さい。読みながらでも、積み重なるものはあると思いますから。
1日しか記憶を維持することの出来ない主人公。さまざまな人との関わりと葛藤と恋愛と。きっと、読書家なら内容は想像できるかもしれない。事実、自分もありきたりなストーリーだと最初は思った。だがこの作品には、ありきたりの領域を越える熱量があった。なろうでは決して評価されやすい作品ではないかもしれない。だからこそ声高々に、伝えたい。この作品は異世界転生のテンプレートに飽き飽きな人々の心をつかむ作品だと。正直なところ、こうして言葉を並べることさえはばかられるほどに面白い。読後の圧倒的な満足感を是非とも味わって欲しい。このレビューが作品のさらなる評価に繋がることを願って。
1日しか記憶のもたない小説家の主人公。そんな状況にもかかわらず主人公は少しずつ小説を書き上げていく。さまざまな出来事が起こるなか、紆余曲折を経て主人公は小説を書き上げることはできるのであろうか。文字数としては10万文字程度、文庫本としてだいたい1冊というなかできちんと完結していて読み応えもばっちりです!とにかく主人公の生き様が格好良い。もしも自分が同じ状況だったらこのように生きることができるのであろうか考えましたが多分無理でしょう。辛い状況にありながらも前へと向かう主人公にただただ尊敬しかありません。『諦めるものか。負けるものか。』ただそれだけを胸に主人公は小説を書き続けます。記憶に障害を持った男の描く生き様、是非一度読んでみてください!