評価:★★★★☆ 3.7

「くれぐれも、兄弟仲良くな」
 にこやかに言って頭を撫でる父帝(桓武帝)が、実の弟を無実の罪で殺したことを神野は知っていた。朗らかであでやかな母乙牟漏と、十二歳年長の兄で皇太子の安殿。彼らの愛情を信じてはいても、周囲で次々に起きる不吉な出来事は、幼い神野の心に暗い影を落とす―――

     ☆

 後の嵯峨天皇(神野親王)の幼少期からその死までを描く創作歴史小説です。兄である安殿(平城天皇)への複雑な想いや、臣下となる藤原冬嗣(北家)、良峰安世(異母兄)、藤原三守(南家)らとの友情がメイン。二部構成で長編ですが、お付き合い頂ければ幸いです。
 
【主な登場人物】

〇桓武天皇
 冒頭時点では53歳。後に現在の京都、すなわち「平安京」への遷都を行なう。果断の人。
〇安殿親王
 平城天皇。桓武の長男。冒頭時点では東宮(皇太子)で、年齢は十六歳。
 子供っぽく手が焼けるところがあるが、同母の弟妹、神野、高志のことはとても可愛がっている。
〇神野親王
 嵯峨天皇。安殿の同母の弟。冒頭時点では四歳。本作の主人公。
 後に「三筆」の一人に数えられた能書家で、芸術家肌の人。
〇大伴親王
 神野の異母兄弟で同い年。後の淳和天皇。神野の同母妹、高志内親王を妻とする。
〇良峰安世
 神野よりも一歳年長の異母兄。第二章で登場する。神野の友人となり、
 その生涯を支えた。
〇藤原冬嗣
 安世の異父兄。藤原北家出身で、父内麿は桓武に、兄真夏は安殿に仕えている。
 神野の第一の腹心となり、藤原北家繁栄の立役者に。
 神野とは持ちつ持たれつの盟友のような関係。
〇藤原三守
 安世の学友。祖父が反逆者藤原仲麻呂の弟で、乱に連座して処刑されており、
 その影響もあり非常に謙虚な人柄。神野の最も忠実な臣下となる。
 姉の美都子は冬嗣の妻。自分の妻は橘嘉智子の姉、安万子。
〇藤原薬子
 安殿が寵愛する女官。「薬子の乱」で有名。
〇藤原仲成
 薬子の兄。安殿の部下で野心家。

【第一部構成】

第一章 春霙哀歌 -相次ぐ死-
第二章 夏日逍遥 -友との出会い-
第三章 行春散華 -桓武帝の死-
第四章 新帝即位 -平城天皇-
第五章 登極   -嵯峨天皇-
第六章 野分前夜 -二所朝廷-
第七章 疾風迅雷 -薬子の変-


話数:全92話
ジャンル:

登場人物
主人公属性
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職業・種族
  • 未登録

時代:
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録

注意:全年齢対象