評価:★★★★☆ 4

 この世のどこかで『優曇華(うどんげ)』という、けったいな名の花が、三千年に一度咲くそうな。『悲劇の起こる場所に咲く』という、大層な曰くが付いておる。

 ある日ある時、とある山奥の一本杉に住む仙人の元で、この優曇華の精霊が生を享けた。

 これは伝説の花が、咲くまでの物語。定められた終わりの重さをものともせずに、力強く育つ幼女精霊の、出逢いと別れの物語。

 その全てを見届けた、老仙人の物語。

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 ほれ、年寄りの話は長いでのう、膝を崩してお聴き下され。はてさて……その熱い茶が冷める前に『めでたしめでたし』となりますかいな。

 急な通り雨じゃのう。この団子屋の軒先に、居合わせたのも何かの縁じゃ。爺いの戯言に耳を傾けて、雨が上がるのを待つのも一興じゃろう?

 ああ、そうじゃよ。物語はお決まりの文句から、はじまるものじゃて。

『むかーしむかしの、ことじゃった。ある山奥の一本杉に、老いぼれ仙人が住んでおったそうな。ある日のこと……』

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※表紙絵は牛蒸御飯さんです。じっくり眺めて惚れ惚れして下さい!

※伝承や、実在するイチジク科の花、及びカゲロウの卵を指す『優曇華』とは異なり、オリジナル要素を含む設定の物語です。

※本作は他の投稿サイトにも投稿しています。


話数:全17話

登場人物
主人公属性
  • 未登録
職業・種族

時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:
展開:未登録

注意:全年齢対象