評価:★★★★☆ 4.3
(c) 2017 甲斐八雲
【完結いたしました】
彼は仕えていた主君を追い、腹を切った。
殉死を許される名誉を手に入れたのだから、悔いはない。
悔いは無かったが……強い未練は残った。
『義父の様に天下にその名を轟かせたい』と、心の中でずっと思っていたのだ。そして彼はその記憶の全てを、腹を切り介錯される瞬間までの記憶を抱いて生きている。
これは異世界へと渡った剣豪武蔵の養子ミキと、その溢れる才能を垂れ流し気味な自由奔放な娘レシアが出会いと別れを繰り返し……破滅の淵に立つ世界を救う手助けをする為に、仲間たちと共に絶望的な戦いに挑む物語である。
時代:江戸
舞台:未登録
雰囲気:シリアス
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
物語というものは大抵の場合主人公という存在がいます。 その物語の中で彼、彼女たちはそれぞれの世界を懸命に生きています。 そして、小説家になろうにおける数多の物語の中でも特にこの作品の主人公は自らの足でしっかりとこの「異世界」に立っています。 彼の泰然自若としたその姿は一本の大樹のようで、どっしりとしながらも、固くなりすぎず、風に揺れる柳や水に逆らわず流れていく木の葉を彷彿とさせます。 更に、そんな掴み所のない主人公を照らす少女の存在は、悠然としながらも実は刀のように鋭い一面を持つ主人公を優しく包み込み、そして、殺伐とした世界までもを一瞬のうちに温めてしまうのです。 決して優しくない世界を儚げで美しく見せる作者様の技にも是非々々注目していただきたいです。 読書の秋、この綺麗な物語で素敵な余韻に浸ってみませんか?
All you need is sword. あえて言うならば、この小説の醍醐味は一語に尽きる。 かの有名な剣豪の名を背負う男は、剣の道を志し。 彼と出会った一人の少女は、精霊に捧げる踊りの道を志す。 この小説にはてらいがない。濁りがない。 ただ真っ直ぐに一つの道を極める。 そのことに於いて同意した二人の眼差しの、なんと眩しいことか。 二人が歩むは広き大陸。 剣閃が踊り、その跡を血飛沫が追う。 殺人という名の罪を、少女のたおやかな舞いが鎮めていく。 一文ごとの読後感が何とも心地よい。 二人の歩みを知るのは大陸を吹く風だけ。 読み手もまた、自然とそれを知るだろう。 作者の真剣な心意気が伝わる良作として、是非お薦めしたいと思う。
強い未練を残し生を終えた主人公が異世界で当時の記憶を有したまま奮闘する――今世で彼はどのような騒動に巻き込まれ、そして世界を救い、更には未練を断ち切るのか。ヒロインの所有者となった主人公は彼女を連れて世界中を見て回る旅に出ます。彼女とのイチャイチャも見ていて癒されます、必見です。物語はまだまだ始まったばかり、あなたもミキやレシアと共に独特の世界観の中を冒険しませんか?彼らの今後の物語がどのように展開していくのか、続きが楽しみになるお話です!