堕落剣鎌風 完結日:2017年6月1日 作者:鵜狩三善 評価:★★★★☆ 4.3 受けるとも受けずとも、いずれにせよ末路には死あるのみ。斯様な暗殺依頼をねじ込まれた芹嘉門は、心中にあったわずかな欲からそれを受諾する。 斬るべきは堀田春元。振るわれるは秘剣鎌風。 遅れてきた男は、同種同類との剣舞の果てに何を見、そしてどこへ落ちるのか。 話数:全4話 ジャンル:歴史 登場人物 主人公属性 未登録 職業・種族 未登録 時代:未登録 舞台:未登録 雰囲気:未登録 展開:未登録 その他要素 失われた世代 妥協 時代小説 自縄自縛 隠し剣 注意:全年齢対象 なろうで小説を読む
自分らしく生きるということは、何よりも難しい。求められる形に合わせて自分を変えてみても、己の矜持を押し通してみても、胸につかえた息苦しさが晴れることはない。何をもってして幸せだと感じるかはあやふやで、それは現代を生きる私たちもまた同じだろう。生まれてくる時代が時代ならば、剣の腕で一国一城の主にもなれたかもしれない男。けれど今の世では、いつ死んでも良いと剣をふるうことしかできない。そんな中で出会った美しい太夫の存在は、男の心に何を生み出すだろうか。「死にたくない」と思うことが剣人としての堕落ならば、「生きたい」と願うことは只人としての幸福ではないだろうか。白黒の世界で刹那的に生きて来た男が垣間見た未来は、きっと驚くほど鮮やかに色づき、何よりも美しかったはず。それぞれ異なる世界で生きる彼らの人生は、不意に重なり合い、そしてまた離れていく。幸福の色は、ただ彼ら自身にしか見えない。