評価:★★★★☆ 4.3
笛鳴らしの方治は居残りである。
居残りとは遊びの金が支払えず、妓楼に留め置かれた者をいう。本来ならば肩身が狭くて然るべきところだが、あちらこちらから「先生」と呼び親しまれるこの男は、少しばかり異なる居残りであるようだった。
剣術使いでもある彼と、数奇な運命を辿り妓楼に属す事になった娘。そして上方戻りの凶賊。彼らの生が麻糸の如くもつれあう時、笛に似て非なるその音が響く。
アルファポリス第4回歴史・時代小説大賞、大賞受賞作。
またタイトルを『居残り方治、憂き世笛』と改め、13万字ほどまで加筆した書籍版が、アルファポリス様より発売中です。
話数:全4話
ジャンル:歴史
登場人物
主人公属性
- 未登録
職業・種族
- 未登録
時代:未登録
舞台:未登録
雰囲気:未登録
展開:未登録
注意:残酷な描写あり
他人の幸せが羨ましい、妬ましい。そういう心は誰しも持っているはずだ。その度合いが強い場合には、この世の中はなんとも生きにくいに違いない。いっそ、執着なんて持たないまま生きていけたらと思うこともあるけれど、それはそれで幸せとは呼べない人生なのだろう。生きるとは、なかなかに難しい。この物語の主人公は、遊びの金が払えずに妓楼に留め置かれた「居残り」の男。歓迎される存在ではないはずなのに、彼は「先生」と呼ばれ遊女たちに慕われている。ある日、男のもとに妓楼の遣手から依頼が舞い込んできて……。他者の幸福を憎みながら生きてきた男と、何物にも心動かされることはないと思い込んでいた男。この出会いは、「居残り」にどんな気付きをもたらすのだろうか。なおこちらの作品は、短編から大幅加筆の上で書籍となったそうだ。ぜひじっくり紙の本も堪能してみてほしい。書籍版のタイトルは、「居残り方治、憂き世笛」である。
この作品はアルファポリス第4回歴史・時代小説大賞、大賞受賞作です。小説家になろうにおいて人気ジャンルといえばファンタジーものです。時代小説と言われて難しそうだと思い読む気がしない方も多いと思いますが試しにこの作品を読んでみて下さい。読み終わった時あなたはきっと時代小説をもっと読みたくなっているそんな作品です。